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「被災地」の「いま」

この日は、所用があり東松島市と石巻市に向かいました。
東松島市は大曲地区、
石巻市は渡波地区、
どちらも海沿いの地域です。

大曲地区には、今も撤去されていない家屋が並んでいます。
倒壊した家屋などが見えなくなった地域で、
ここは相変わらずの景色です。

この夏から、
ここを観光バスで訪れるツアーが企画されるとのこと。
この地区にバスが訪れ、
避難している地域の住民から話を聞くそうです。

「どうなんだろうね?」
見て、感じて頂けるのはありがたい、
でも「観光」として被災者である自分も協力してよいのか?
否定でもなく、かといって両手を挙げて賛成でもなく、
それが地域の方の見解です。

今年の夏からツアーは始まるそうです。
そして、今年中に、
この地域にある家屋はほぼすべて撤去されるそうです。

その後は石巻市へ移動。
としょかんが設置してある渡波地区に移動し、
利用状況の確認。

少し本の並びが乱れていますが、
設置して一年以上が経過した今も丁寧に使ってくれています。
管理してくれている方に感謝です。

すぐ近くを見渡すと、
やはり変わらない光景が見えます。

水たまりではありません。
先の震災で、地盤が70cm以上下がってしまったこの地域。
今も夕方が近づくと冠水が目立ちます。

修復のめどは立っていません。

このすぐ近くには、
瓦礫の集積場となっている高校と小学校が見えます。
ちょうど下校途中だったらしく、
他の小学校に移ることになった、この地域の小学生が、
ランドセルを背負って母校の前を通り、下校していました。

写真を撮る気には到底なれませんでした。。

自分の母校が瓦礫の集積場となっている景色。
宮城県や岩手県ではよく見受けられます。
どんな思いで、修復されることなく、瓦礫置き場となった
自分の元母校の前を通っているのか、
私にはわかりません。

私が知っているのは、
ニュースで「瓦礫受入、反対」のデモや騒ぎを、
悲しそうに涙を浮かべて見ていた、
被災地の方がいる事実だけです。

同情で受け入れる必要はもちろんありません。
賛成、反対、色々あると思います。
何より自分の意見を述べるのはとても大切な事です。

でも、その動き自体が、この地域には悲しい事に映っています。

お願いします。
出来れば、賛成でも反対でもどちらでも良いので、
決定されたことを
粛々と行って頂けることを望むだけです。

私としての考えはありません。
ただ、今日も壊れ、瓦礫置き場となった母校の前を通学する
子どもたちがいる事実だけ知って頂ければと思います。

そんな中でも地域はがんばっています!

絶対に復興してみせる、
そんな気概が感じられます。

震災から1年3か月以上が経過した、
被災地の現状です。

夏休みまでに進めたいこと

現在、みんなのとしょかんでは今までに設置した、
すべてのとしょかんに、
読書感想文コンクールの課題図書を設置するために、
皆さまの家で眠っている図書カードをご支援いただけるよう、
お願いをしています。

青少年読書感想文全国コンクール
http://www.dokusyokansoubun.jp/

今年も様々な課題図書があります。


夏休みの最後の追い込みで書いた苦い記憶がよみがえります。。。

課題図書は18種類あり、
さすがに全部の書籍を準備するのは難しいかもしれませんが、
せめて1館に10冊程度は準備したいと考えています。

私は、コンクールの主催者でもなければ、
その回し者でもありません。
もちろん、課題図書になるくらいなので
子どもたちに読んでほしい本ではありますが、
夏休みに宿題のことを考えて、
本を読み、読書感想文を書く。。。
そんな当たり前の日々の流れを作ることを
サポートしたい。
そんな思いから今回の設置を進めています。

また、もう一つ支援したい場所があります。
それは地域の書店です。

東北3県の書店の売り上げは以前に比べ回復傾向にあります。
しかし、もちろんすべての店舗が売り上げを回復している訳ではなく、
地域によっては苦しい状況にある書店も多いのです。

今回、皆さまからお預かりした図書カードを活用して、
被害状況の厳しい地域の中で営業している書店、
人口減少が進む中で震災に遭い、中心市街地の空洞化が
進行してる地区の書店などで課題図書を購入させて頂き、
少しではありますが、買い物という形での
ご支援ができれば、と考えています。

すでに石巻のセンター館などには、
皆さまからのお気持ちが届き始めているようです。

夏休みに入る前に何とか設置できればと思っています。
どうか皆さまのご協力をお願いします。

インドネシアに。。。

東北への図書館設置、各地域のコミュニティの自立の支援をしつつ、
もう一つのプロジェクトである、
「みんなのとしょかん for Asia」も進行中です。

とは言え、一つの絵本を作るのにかなりの手間がかかります。
まずは、日本語で書かれた絵本を翻訳する必要があります。
こちらは、主に日本に留学している、
インドネシアの留学生の方が翻訳を手伝ってくれています。
とは言え、お手伝いいただく皆さんは、
東京、愛知、栃木に群馬など、、、
毎回翻訳をお願いするために郵送していては
費用がかかるのは勿論、
相手のスペースも占有してしまいます。

なので、まずは絵本をデジカメで撮り、データに変換。

絵本のジャンルは、以前皆様から頂いたアドバイスをもとに
選定しています。

その後、データをメールで送る事が出来るサイズに圧縮し、
翻訳ボランティアさんへ送付します。

。。。

皆様のお力添えで、翻訳した文章のデータが
届いたら、次は文章をシールにて出力、
読みやすい大きさにカットします。

全てのラベルを絵本に貼り、
ようやく一冊出来上がり、です。

ラベルの文字は、水などで濡れてもにじまないインクを使っています。
相手先の保管環境が分からないため、
耐久性なども考慮しています。

一冊を作り上げるのに期間として約2週間程度かかります。
正直、想像以上に手間がかかります。

しかし、翻訳などに多くのボランティアさんが手を挙げてくれています。

以前よりの目標であった7月には、
まとまった数の絵本を、
津波の被害に遭った、
インドネシアのパダンに送る事が出来るように
頑張りたいと思います。

多くの方のご協力に
感謝申し上げます。

継続の大変さ

先日、私たちの事務局に
郵便書留が届きました。

板橋区の今井昌和さまからでした。
中には図書カードと
メッセージが添えられていました。

今井さまは、
私たちみんなのとしょかんを法人化してから、
もう一年近く、
事あるごとに、
支援金や図書カードを
支援してくださっています。

震災から2年目を迎えている今は、
様々な場所で継続する事の
困難さが見え始めています。

今まで、支援していたボランティアさんの姿がなくなる、
助成金に頼っていたNPO団体が姿を消す、
などは良くあることです。
中にはモチベーションが下がってしまい、
支援を止めた団体もあります。

定期的に被災地に伺い、
現地を見ている私たちですらその状況です。

そんな中、
メディアなどから被災地の情報が入らなくなってきた今でも、
このように支援を続けるには、
支援を行っている私たちよりも、
強い意志が必要なのではないかと思います。

「心ばかりですが、お役立てください」
一言のメッセージに
心から励まされます。

自分たちの活動を支えてくださる、
多くの方に
言葉でしか表せないのが大変もどかしいのですが、
本当にありがとうございます。
本当に、感謝してもしきれません。

支えてくれる人がいる限り、
私たちは活動を止めることはありません。
その事はお約束いたします。

うれしい記事

今朝、友人からメールが入り、
「みんなのとしょかん」の記事が地方紙に載っていた、
との事でした。

メールを確認すると、
インドネシアに絵本を送るために
留学生が翻訳を手伝ってくれている記事が。
以前、地元紙が取材して頂いたものが、
他の地方紙に記事提供され
掲載されていたものでした。

あわててコンビニに行き、
2部ほど購入。

そのまま、足利工業大学に向かい、
この記事の主役で、インドネシアから留学している、
パタイくんとトウリさんにお届けさせて頂きました。

実は、以前、掲載されていた新聞は、
出張中のため購入することが出来ていませんでした。

翻訳を手伝ってくれている二人に
「新聞に掲載されたら、記事を持っていきますね」
と約束した経緯があり、何とか以前の記事を見つけて届けなければ、
と思っていたところだったので、
その約束を果たす事が出来ました。。。

もちろん「みんなのとしょかん」を紹介してくれることは
有り難いのですが、
何よりうれしいのは、
自分の国を離れて、頑張っている留学生が、
新聞に紹介され、記事になってくれる事です。

彼らには、身を案じてくれる家族がいると思います。
この新聞の言葉は解らなくとも、
自分の子どもが、留学している国で、
頑張っている姿を新聞で紹介されている。
そんなことをメールや郵送で、自分の祖国に
伝えるきっかけになれば良いと思います。

支援してくれる方も、支援をされる方も
共に幸せなことが一つでもあれば何よりです。

ご支援の御礼

活動資金のご支援を頂きました
・富田商店さま
・さくら屋不動産さま
・今井昌和さま
いつもご支援ありがとうございます!

書籍のご支援を頂きました!
吉田幾子さま
栗原勝雄さま
さがらみずほさま
伊藤康子さま
黒澤文子さま
津田 祐さま
樋池朝子さま

本当に多くの方よりご支援を頂いております。
心より御礼申し上げます。

現在、みんなのとしょかんでは
夏のとしょかん一斉ローテーションに向け、
着々と準備を進めています。
また、7月にインドネシアに絵本を送れるように
絵本の翻訳準備も行われています。
そして、Tシャツによるコミュニティ支援プロジェクトである、
「コミュニTシャツプロジェクト」も始動準備。
何より、南相馬市と山元町の図書館設置も随時打ち合わせを
進めています。

全てが同時に進んでいて
たまに混乱することもありますが、
この夏までに形を整える事が重要です。
夏には各地で支援イベントなども開催されます。
それに間に合うようにしなければ、
地域で頑張っている方に支援の手が届かなくなってしまいます。

石巻のみんなのとしょかんには、
多くのポスターが貼られるようになりました。
一つでも多くの事業が開催され、
それが地域の活力に変わればよいですね。

そんな事業が開催できる環境を整えるためにも、
丁寧に、でもスピーディに
それぞれのプロジェクトを進めたいと思います。

ひまわりコミュニティのこと

東松島市の矢本にある仮設住宅。
総世帯数は700世帯以上という、東松島市では最大の
仮設住宅エリアです。
そのうち第一集会所にある
「ひまわり集会所」
地域の方が自主的にイベントを開催したり、
清掃活動を行ったり、
ストラップなどの小物を制作、販売し、
コミュニティの運営費にしたり、
様々な活動を前向きに行っています。

被災地の仮設住宅の中でも、かなり秀逸な地域です。
先日は、こちらの仮設住宅に
ベルギー皇太子妃まで視察に来るほどでした。

実際に日報を見ると様々な活動を行っています。


もちろんお金を貰えることはありません。。。
地域が盛り上げるように、すべて自主的に行っています。

ベルギー皇太子妃と話している方が、
会長と副会長を務める内海さん夫妻。
コミュニティ開設当時、自治会ができる前から、
ずっとコミュニティを盛り上げるために頑張っています。
毎日、朝早くから夜遅くまで、
休むこともなく、奔走しています。

多分、ここで話を止めれば
「頑張っている人がいるな、」といういわゆる”いい話”で終わる話です。
でもそういう話ではありません。。

彼らの力なしには、今のひまわりコミュニティは
無かったでしょう。
しかし、今も彼らがいなければ
ひまわりコミュニティが存続するのは不可能です。

今の被災地における現状がここにあります。
彼らはボランティアでも、専門家でもありません。
家を、大切な方を失った被災者です。
精神的にも、経済的にも震災によって大きなダメージを
受けながらも、休むことが許されない。
休めば、自分たちの暮らす地域が衰退していくのです。
それがいかに大変な事か、
私も推し測ることはできません。

ここへは毎日のように
様々な支援団体が、
ボランティアさんが、
支援の申し出が来るのです。
その善意はもちろん素晴らしい事であり、
その善意があるから、地域は維持されます。

しかし、その日程の調整もやはり大変な作業です。
多くの方に集まってほしいイベントであれば、
自分たちで資料をコピーし、回覧板を作り、
参加人数を確認する。。。
これらにかかる費用は自分たちが定期的に資源回収を行い、
それで得た資金を活用しています。
時には自腹も切っています。
やはりこれも休むことが出来ない仕事です。

「なぜ、みんなのとしょかんは地域にコミュニティ組織をつくろうとするのか?」
「自然な流れに任せたほうが良いのではないのか?」
質問を受けることがあります。

この震災の中で
責任感のある人が、努力の末、つぶれていく姿を
何人も見てきました。

最初は盛り上がっていた地域コミュニティも、
一部の人だけが何の見返りもなく努力するも、
お金もなく、協力する人も徐々に減り、
頑張っていた人は失望し、努力を止め、
人びとが集っていた仮設集会所が、
カギがかかり、使われなくなった地域も見てきました。

もう見たくないのです。
そのためには、組織で、チームでこの厳しい状況にあたらないといけない。
それだけです。

2年目を迎えた被災地は、
かなり厳しい状況にあります。
私もある程度は予想していましたが、
その想像は甘かった、と猛省するしかありません。

この頑張っている、
「ひまわりコミュニティ」をNPO法人化するための
説明会を6月20日に開催できることになりました。

もちろんすべてが解決できるとは思っていませんが、
少しでも頑張っている人たちの負担が減らせるような
チーム作りを目指したいと思います。

亘理町~山元町へ

今日は、宮城県亘理町と山元町へ。
亘理町には以前、図書館を2か所設置させて頂きましたが、
そのうち、コミュニティレストランである
「亘理いちごっこ」さんが引っ越したという事なので、
現状の確認を兼ねてご訪問。
とは言え今日は定休日との事でした。


外観はまだ工事を行っていますが、
営業は始まっています。

「亘理いちごっこ」さんは、
地域に必要とされるコミュニティの拠点として、
震災以降、ずっと奔走されています。
http://watari-ichigokko.blogspot.jp/
近くに来た時には是非お立ち寄りください。

その後、亘理町公共ゾーン仮設住宅内のとしょかんにお邪魔し、
本の利用度のチェック。

本来、本棚にジャンル別の仕分けシールが貼ってあったのですが、
取れてしまっていました。。。
そのせいか、少し乱雑な感じになっていました。
ちょっと残念です。
ラベルを貼り直し、書籍を整理させて頂きました。
これからも丁寧に扱っていただけると嬉しいですね。

その後、
山元町に移動し、お寺災害ボランティア「テラセン」の
センター長である藤本さんと一緒に、
山本町役場にある社会福祉協議会へ。

山元町にはもともと図書館がないので、
復旧というより、
できれば新しいカタチとしてのとしょかんを提供したいと、
お話をさせて頂きました。

先方の担当者も検討してくれるとの事でした。
良い形になればよいと、
心から願います。